LONDON -03-

2018.11.05

ロンドンブリッシ駅から電車で2時間。ロンドン郊外というより、もはやロンドンですらない田舎町へ。

到着。右奥の男の話し声以外は何も聞こえない。手前のおばさんは動かない。Welcome to  the UK country。

迎えに来てくれた華奢な初老の男とともに徒歩20分。大変古い時代に建てられた(と言えば響が良いがかなりズタズタな感じで、本当にここに住めるのか、みたいな)自宅へ。

入ってすぐにレストアを待つ約100年前のフレームや工具がぎっしり。

壁には履き潰されたというかどうやったらこうなるのか理解に苦しむ靴や洋服が並べられている(ただ置き場がないだけ)。

食料は裏の庭で色々作っていて、まだ土の匂いがする採れたての香りと、

リペイント途中のタンクの匂いが混ざって不思議な感じ。

1900年代初頭のモーターサイクルの文化に魅せられたこの男は、ありとあらゆる資料を集め(オリジナルは高くて買えないらしく、コピー)、その時代の遺産を復元させている。

見ろ、この顔を。これしか知らない、これしか出来ない。そんな人間性がこの表情から感じないだろうか。

全く詳しくない私にもそれが終わりのない”沼系”だと分かる、普通じゃないバイクに跨り、

ボロボロのジョンムーアを履いてイギリスの田舎道をツーリング。
まるで日本の雑誌の謳い文句的な、出来すぎたイケてるオヤジ像。想像はできるが本当にこんな人いたんだな、と。

そしてこの男、バイク本体だけではなく、サドルや取り付けるバッグも当時のディテールで作っていて、それがイケてるのなんの。言葉では言い表すのが難しいですが、なんていうのかな、ただの理にかなったプロダクトというわけではなく、しっかり品だったり繊細なセンスを感じ取れるんですよ。
キャリアを知って納得。このひと、元々GOLD SMITHなんですよ。”美しさとは何か”みたいなことをよく分かっているんです絶対。

で、何をオーダーするかって?そりゃああれですよ。作ってないわけないじゃないですか、ライダース。
1着作るのに3週間半かかるということなので年間13着くらいが限界らしく、この冬は作れて2着ですって。なのでそれを見てもらって受注会、みたいな流れになるのでしょうね経験上。
はじめに言っとく。すごい。値段もまぁするけど、色々とすごい。にしてもやっぱりノープランならではの引き方って絶対あるんだなぁ。レザーキングの時もそうだったけど、前情報無しからの引きは、本当にその時必要なモノを作ってる人に会える気がするんだよ。
だって、本当はこの冬レザーキングのダブルライダースを製品化する予定だったんだけど、こっち来るちょっと前にボツ化が決定したんだよね。それでその代わりに、みたいな感じでタイミングよくこれなわけですから。
とにかく、はよ着たいですわ。