yamacci

2019.11.21
久しぶりのInterviewとなりました。今回ご登場いただくのは”SARTORIA yamacci”の小山毅さん。普段はBespokeのみ受けている氏ですが、ATELIERでは初となる既成服(トラウザーのみ)を発表。
ファッションという観点から見るとそれはそれは高額な洋服(しかもトラウザーとだけあって余計に)、というのが正直な感想ですが、それでも一本手にしてしまうとすぐにまた次が欲しくなる、ある種靴や時計のようなコレクタブルなプロダクトだと私は思っています。
 
 
石崎 : まずは小山さんの経歴からお聞かせください。
 
小山 : 元々はずっと販売員をやっていたんです。
 
石崎:おいくつくらいの時ですか?
 
小山 : 20歳くらいのときに洋服屋さんにアルバイトで入りました。そのあと一旦は別のお仕事をしたんですけど、やっぱり服が好きで戻って社員になりました。そこから10年くらいやってたのかな。その時にナポリのLUIGI BORRELLIとか、ハンドメイドのシャツが入り始めてきて、KITONとかATTOLINIとかね。それに魅力されちゃって。
 
石崎 : それは単純に見てくれの良さとか?
 
小山 : うーん、手作りのあたたかさというか、こんなとこ手で縫ってるんだっていうところにグッときちゃって。その会社にいるときはもうそれ一辺倒で。それこそ二十何万円しかお給料もらってないのに30万40万のスーツ買ったりしてました。その時は将来まさか作る側にまわるとは思わなかったな。
 
石崎 : 若い時って無茶しますよねぇ。後先なんて考えないで買っちゃう。
 
小山 : そのお店は当時とても拘りがある仕入れをしていました。ロンドンのFALLAN&HARVEYというサヴィルロウの本格的なビスポークテーラーを呼んだりしてました。”ANTONIO PANICO “さんという、土着のテーラーがいましてねぇ。
 
石崎 : 土着というと?
 
小山 : まず、〇〇とか〇〇とかいわゆる有名メーカーってハンドメイドを謳うんですけど、実際は工場で作ってる既製品なんです。そんな中、看板すら出してないような本格的な方達がいましてですね。その中でも有名なのがアントニオパニコさんという街のテーラー。
 
石崎 : なるほど。知られていない人だけど腕は確か、みたいな。しかもローカルな場所でやっている。それで土着と。
 
小山 : そうそう。だから海外に輸出したりとか日本に来たりということがあるような人じゃないわけですよ。ところが、そのパニコさんを見つけて日本で商売をやりませんか?って声をかけたんです。本来オーダーメイド専門のテーラーさんにお店の別注で既製品を作ってもらって仕入れたんです。それを見たら今まで〇〇とか〇〇とか、ハンドメイドだと言われていたものがマシーンメイドにしか見えなくなった。パニコさんのはガッタガタなの、縫製が。
 
石崎 : 確認なんですけど、〇〇とか〇〇とか、○してバレないようにした方がいいですよね?
 
小山 : どうなんだろう。わかんない。僕、つい過激な発言しちゃうんで。オブラートに包んでいただければ。
 
石崎 : こちらはおもしろいんで問題ないんですけど、はい、わかりました。ちょっと考えておきます。(笑)
 
小山 : そのガタガタが、パニコさんのサンプルがですね、届いた時にバイヤーが僕が好きなのを知ってるからお店に連絡をくれて、店長が制止するのもいとわず事務所まで見に行ったんですよ。
 
石崎 : ちなみにガタガタなのは手だからなんですよね?
 
小山 : うん。それでその瞬間にふと思ったんですよ。これくらいだったら自分でも作れるんじゃないかな?って。
 
石崎 : それはおいくつくらいの時ですか?
 
小山 : それが25,6くらい?28だったかも。その時に一念発起した。それがサンプルだったから製品があがってくるまでまた半年くらいあるじゃないですか。その間に作っちゃったんです。自分で。町の生地屋で生地買って。それこそオーダーの採寸を担当させてもらっていたので、お客様に見せる用のサンプルで、半分は完成していて、半分は中の作りが見えるというものがあるんですけど、そういうのを全部イラストにしました。ここにこういうスティッチが入ってるんだとか、自分の持ってるキートンをばらして確認したりして。
 
石崎 : 今でこそバラして構造を見て真似してみようっていう行為はたまに聞きますけど、その時代はなかなかそういう人いなかったんじゃないですか?パターンも自分で?
 
小山 : 見様見真似で。自分が一番気に入っているもののサイズを測って。
 
石崎 : なるほど。
 
小山 : たまたまおふくろがね、その昔花嫁修行で洋裁学校に行っていまして。その時にもらったという、カタカナで書いてある洋裁の本があったんですよ。昭和30年代くらいの日に焼けちゃってるような古本だったんですけど。で、それがなんと、ミシンが氾濫していない頃の本なんで、手での作り方が書いてあったんです。むしろ手で作る方法しか書いていなくて。これだ‼︎と思った。それを見ながら独学で作ったんです。なんとか作り上げて、今見たらひどいのかもしれないけど、それ着てしれっとお店に立ってたんです。本当はお店で売ってるものしか着ちゃだめなんだけど。そしたらバイヤーが寄ってきて、「お前勝手にナポリでそんなの作ってきちゃダメだよ」なんて言うんですよ。いや、ナポリじゃなくて自分で作ったんだけどなぁ、なんて言えなくて。それなりに見えるんだと思いましてそこからはまっちゃっいました。
 
石崎 : くー。それはシビれるストーリーですね。お母様の花嫁修行がある意味本当の原点なのかもしれませんね。
 
小山 : そこからは趣味で休みの日に作ったりしてたんですよね。お店でパニコさんにお願いする時に、中のことまでは理解していない人が言うよりも、作れる自分が言うほうがやっぱり向こうも職人なんで聞いてくれるんです。今後もそういうことに役立てばいいやと思ってたんですけど、ただやはり行き過ぎちゃってそのお店じゃ物足りなくなっちゃって。
 
石崎 : そのお店のラインナップではもう満足できなくなってしまった、ということですね。
 
小山 : いや、自分の好みが変わっちゃった。そして「こういう人たちに着てもらいたいな」っていう層が変わってきちゃったの。
 
石崎 : より本格志向へ、と。
 
小山 : そう。もっと本格的なものがあるはずっていう。だからその後、パニコのお店にいたりとか、MARIANO RUBINACCIというナポリの老舗に行って、現場とかいろいろ見たらもうやりたくてしょうがなくなっちゃって。そのあとは今はもう無いんですがセレクトショップで店長をやってました。
 
石崎 : というか一つ疑問なんですけど。本格的なことがやりたいってなったら、接客業として現場に立つよりも作り手として修行に入る道もあったと思うんですけど。
 
小山 : 最初のお店を辞めた時にそれも考えたんです。CONSTANTINOというナポリのテーラーの人がいて、彼が、うち来ればいいじゃん。給料出ないけど、飯代と部屋代くらい出してあげるから。と言って誘ってくれたんですけど、残念ながら僕が作りたいのは彼の服じゃなかったんですよね。
 
石崎 : なるほど。
 
小山 : やっぱり中途半端に彼のところに行って半年一年やって帰ってきちゃうくらいだったら失礼だなと。作りたいもののビジョンが見えてたので、だったらわからない部分だけの知識や技術だけ得られればいいやと思って、いろんなところに行って販売員として働きながらちょっとずつちょっとずつ習得して。それでもまさか自分がとは思ってなかった。しかしある時、修理で来てくれていた日本人のテーラーさんに、「お前こんだけできるのに自分でやらないなんて根性なさすぎでしょ」って言われてしまって。そんな風に背中を押される形で、じゃあやってみようと思ったんです。意外に、ナポリのものはいいんだけど、もうちょっとこうなってたらいいのにと思ってるお客様がいてくださって、僕も客として着てたから、ここが肝なんだけどイタリア人には出せない部分があるとか、そういうポイントがわかっていたので、自分でやる意味はきっとあるなと。そしたら何人かのお客様も共鳴してくれたんです。「そうそうそれそれそこなんだよそこ!」って。
 
石崎 : その何人かっていうのは、テーラーも詳しいでしょうけど、何より小山さんを信頼してくれてる方々ですよねきっと。
 
小山 : そうですね、有難いことに。最初のお店の時から知っていて、パニコ、マリアーノルビナッチ、タイユアタイ、ずっとついてきて下さった方たちです。僕のファンでもあるので、そういう方々が、独立するんだったら行くよって言ってくださったんです。
 
石崎 : 小山さんを僕にご紹介してくれた方も、散々いろんなところでスーツ作ってきて、最終的にたどり着いたんだと言ってました。
 
小山 : やっぱり僕はパニコさんにああしてくれこうしてくれと言えますけど、一般の方は言えないわけです。大御所すぎて。お客様との間に入るはずの販売員だってこわくて言えないわけです。でも皆さん、僕にだったらなんでも言えますから。パニコさんにいろいろ注文してたくらいなんで、ああそこ、肝ですよね、わかってますよって。かゆいところに手が届くやりとりができたんですよね。
 
石崎 : それって本当に自分がお客であり、ファンだからこそですよね。分かります。
 
小山 : そうです。僕が一番欲しいものを作っているから。世界探してもなかったんで、だから自分で作るんだと、そういう感じですね。
 
石崎 : 独立されて何年ですか?
 
小山 : 丸9年かな。2010年からなんです。
 
石崎 : もっと長いのかなと思ってました。でも勤められてる時からずっと製作はされていたんですもんね。
 
小山 : はい。自分で着るものは前から作っていたので、やり始めてからは25年とかかな。元々作るのは好きだったんです。最初の会社に勤めるさらに前に、ルイジボレッリっていう、昔エルメスのシャツを作っていたシャツ屋さんがあって、それもハンドメイドでナポリのシャツを日本に知らしめたシャツメーカーなんですけど、そこのシャツが好きで、でも欲しい色がなかったので見様見真似で学生時代に作りました。それを当時の店長が社長に話してくれて、一発で面接受かりました。
 
石崎 : その無いなら作っちゃえって精神、見事です。さて、今日は作りかけのトラウザーズのパーツを持ってきてくださったんですよね?
 
※インタビューは6月に収録したものです。掲載されているトラウザーは完売しております。
 
小山:はい。本当にハンドでやってるんだということがわかりやすいかなと思って。
 
 
 
石崎 : 作りかけとはいえ、僕この状態で既に好き。ところでハンドメイドの概念とはなんですか?ハンドメイドと言われているものが、実際には人の手があまり加えられていなくてもハンドだと言ってしまえる風潮があります。
 
小山 : 実際、エンドユーザーさんがイメージする手作りや手縫いというのは、ミシンすら使っていないと捉えられがちなんですが、そういうことはなく、直線の箇所だったり、部分的にはミシンを使っています。やっぱりそうじゃないと、スーツ1着200万円とかは現実的じゃないじゃないですか。さすがに50〜60万円で抑えようとするとミシンは必ず使用します。ただオートメーション化されたような、機械でバンバン作るということじゃないです。そしてもちろん強度的にもミシンは必要です。シャンと見せる為にも必要になってきますから。
 
石崎 : そうなんですね。決してサボるということではなくて、コストと強度そして風合いを考えるとミシンは必要ですね。っていうか使って欲しいですね。
 
小山 : 例えばこのポケットは両玉縁ポケットといって、一番手間のかかるポケットの構造です。当然、高級紳士服はみんなこの形。でもですね、実はこれを今オートメーションのミシンで作ることができる時代なんです。その場合はここの縁の部分が薄いんです。オートメーションの両玉縁を作るミシンで作っているから。いわゆるロボットみたいなのがダダダダダガシャンガシャンガシャンッというふうにやっていたらハンドメイドとは呼びたくないですね。ある程度強度が必要な部分にミシンを使っているのはハンドメイドと呼んでいいと思います。
 
 
 
石崎 : あとデザインの話も聞きたいです。このトラウザーのスタイルは定番的なものなんですか?教科書的なというか。
 
小山 : ナポリのクラシックなスタイルです。パンチェリーナという仕様で、下腹部をぴたっと抑える為に、通常持ち出し部分のボタンは一個のところを、二個つけることによって下腹部をぴたっと抑えるので、履いていてもずれません。フィット感がより出るような仕様ですね。あと自論なんですけど、アメリカのIVYファッション、あのスタイルの発祥はナポリなんじゃないかと思ってるんです。イタリアのナポリの職人が移民でアメリカに渡って作り始めたんじゃないのかなと疑ってるんです。いわゆるIVYを象徴する三つボタンの段返りのスタイルはナポリのおじいちゃんたちが作っている服とすごく似てるんですよね。
 
 
石崎 : 段返りっていうのは?
 
小山 : 三つボタンがついているんですけど、二つボタンのような返しの襟のスタイルのことてますね。これはナポリ独特の古典的なスタイルなんですが、ブルックスやラルフローレンもこのスタイルなんです。モデリストをやってる連中もイタリア系なんで、実は両極端にあるようでマインドは一つなんじゃないかと僕は思っています。
 
石崎 : それは興味深い考察ですね。あとはこういうのも昔ながらなんですか?(バックのベルトループのところ)
 
 
小山 : これはアットリーニなどでもやっていますが、キートンとアットリーニというのがナポリのハンドメイドスーツを広めた立役者みたいなメーカーですね。既製品としてのハンドメイド服の双璧です。ここがV字カットで開くようになっています。
 
石崎 : 運動量が増える的な?
 
小山 : そうです。座った時に楽なんです。カジュアルな6本ループのパンツだとつけない場合もありますが、クラシックなのは7本ループあるのが基本なので、このV字を避けるように縫い付けています。ただ本来はオーダーメイドなのでベルトループなしが一番クラシックなんですけど、今回は既製品なのでどうしても必要ですから。
 
石崎 : そう、今回、既製服を作るというのは小山さんにとって初めての試みでしたがどうでしたか?
 
小山 : おもしろかったですよ。いろいろ考えることがあって。平均的な脚の長さはどれくらいなんだろうとか。笑
 
石崎 : SARTORIA yamacciで作るビスポークより値段は手頃だと思いますけど、実際見劣りしないものでしょうか?
 
小山 : 基本的に工程は一緒です。縫製の手を抜いて安くしていることはないです。生地の手配の問題だったり、作るときにベルトループをまとめて作ることができたりだとか、効率の部分で値段が下げられたというだけです。クオリティは同じです。でもビスポークではないので100%のフィット感は望めません。でもこのシルエットはスタイル的にそこじゃないですよね。
 
石崎 : はい。あとは今回に関しては太めの作りということもあり、体型はそこまで問題にはならないのかなと。
 
小山 : 大丈夫だと思います。ただ、ハンドメイドのトラウザーでよく見ると思いますが、S字パンツと言って、脚のラインに沿うようにくせ取りしているんです。その場合、ふくらはぎの位置が皆さん同じかと言われればもちろん違うんです。でもそれはムードですから。
 
小山:(パンツを整える)今回腿部分を太めに仕上げているのですが、これでもう少しそこが細ければSのカーブがもっとわかりやすく出ます。
 
 
石崎 : 僕、こんな綺麗なパンツ履いたことなかった。
 
小山 : 履いてみてどうです?
 
石崎 : 受け取った日から風邪ひいた日以外は毎日履いてます。
 
小山 : 気に入っていただけてよかったです。パンツの前の線がまっすぐ落ちるじゃないですか。これも、ヨーロッパの人たちが作ると、日本人の体型に合ってないのか外側に寄ってしまうんです。そうなるとかっこよくないので、膝の内側にきれいに入るように作っています。
 
石崎 : ちなみにこういうパンツを僕は履き慣れてないんですけど、どう合わせるとかあります?
 
小山 : コーディネートですか?むしろどんどんカジュアルに着ていただいちゃっていいんじゃないかなと思っていて。今の日本の風潮だと、スーツでお仕事している方はお休みの日はチノやジーンズなどコットンのパンツになりますよね。実際はコットンよりウールのほうが過ごしやすいはずなんですよ。だからあえてウールのパンツにポロシャツやポケTとか、カジュアルとして着てもらったらかっこいいんじゃないかなと。今回、石崎さんのところで、石崎さんのお客様にだったらそういう打ち出し方がしてもらえるんじゃないかなと思ったのも、このオーダーをお受けした理由の一つです。
 
石崎 : ありがとうございます。うちだけの話をすると、休みの日はデニムにTシャツとか、カジュアルな人が多いんです。そういう最低限をベースにちょっといい革靴履こうとか、いい鞄持とうとか、いい時計巻こうとか、そういうシンプルな人たちが増えてきてる印象があります。
 
小山 : その延長線上でいいんです。そのデニムがこのパンツになっただけで、さらっと着て頂ければいいんじゃないでしょうか。ちょっといい革靴はいて、ヴィンテージロレックス巻いて、とてもかっこいいと思います。
 
石崎 : シャツ着てタックインしてタイしてジャケット着て…とかもいけます?僕はしないんですが参考までに。
 
小山 : そういうのにも対応できますね。いいレストランにお食事、とか。でも普段着として着用頂ければ何よりです。
 
石崎 : 裾上げもこれ、全部ハンドですね。
 
 
小山 : そうですね。全部ハンドです。千鳥がけというので、一針一針縫ってますし、そもそも少し斜めにうしろが長くなるように生地をアイロンでこの形にしていますね。
 
石崎 : 呼び名はあるんですか?シングルだとモーニングって言うけど。
 
小山 : ないんですよ。セレクトショップに勤めていた時は、造語でダブルモーニングと言ってましたけどね。こういう風にうしろが1cm2cm長くなることで日本人はふくらはぎが出てるんで収まりがぐっと良くなりますね。
 
石崎 : 小山さんと話しているとあれですね。これまで何度かお会いしてるじゃないですか。すごい職人さんだということも思うんですけど、それ以上にオタク的ですよね。
 
小山 : 僕は職人ではないですよ。はい、僕オタクです。ただのオタク。
 
石崎 : はい、そういうイメージが強くて。
 
小山 : はい、認めたくはないですが変なのかもしれません。
 
石崎 : もう一つ、これはオーダーできていないのですがコートを。(広げる)かっこいいー!これは元になっているのはアクアスキュータムのトレンチ?
 
小山 : そうですね。昔からトレンチは好きでよく着てたんですが、コットンじゃつまんないなと思い始めて、カシミヤで作ったらめちゃくちゃかっこいいなと。やってみたら結構良かったという。まんましちゃうと仰々しすぎちゃうんで、多少ね、エポレットをなくしたり、セットインにしたり。”もしもナポリのハンドメイドの職人さんがトレンチを作ったら”、というコンセプトです。このポケットは30年代にあったモルツィエッロ(※ロンドンハウスの前身となる洋品店)で作られていたコートのポケットをモディファイしています。ポケットが外付けというのがいいですよね。ダブルスティッチも、アクアスキュータムはミシンですが、ナポリのハンドスティッチぽい感じで入れています。
 
石崎 : これ、今一番欲しい服なんですよ。
 
小山 : ありがとうございます。
 
石崎 : でも買えないんです。
 
小山 : 値段がね。
 
石崎 : もし逝くなら犠牲者は多ければ多い方が勇気が湧くから、お客さんとか友達にも一緒にオーダーしない?と聞いているのですが、みんな金額聞いて…。でも実際着たら終わりなわけで。たまらない。絶対欲しいってなる。着ていいですか?うわー。
 
小山 : これ7,8年着てるんですけど、誰か見てるんですかね。最近ウールのトレンチをセレクトショップで見かけるようになりましたね。
 
石崎 : 確かにトレンチがブームだったというのもあるんでしょうね。古いバーバリーが高くなったり。でもこの高級感は、圧倒的に違いますよね。この世のものではない。
 
小山 : 1アイテムだけ良いものを、じゃないけど、とにかくさらっと、デニムとかに合わせてもらえるといいのかなと。
 
石崎 : なんかこれ見るとまた501とか穿いてもいいかもなーって思う。新しい服が欲しくなる、服。
 
小山 : いいですよねー。
 
石崎 : うぅ。
 
(小山さんに着ていただく)
 
石崎 : ガウン感ありますね。
 
 
小山 : そういえば昔、女性のスタッフから、小山さん絶対に家でガウン着てペルシャ猫撫でてますよね!なんて言われてたなぁ(笑)。そんなこと絶対ないですけどね。
 
石崎 : うん、猫が見える。そして背中もいい。
 
小山 : インバーテッドプリーツっていう。
 
石崎 : 小山さん似合いますね。小山さんのだから当然だけど。
 
小山 : わたしはジャストで着ますけど、石崎さんはややゆるく着た方がかっこいいですね。
 
石崎 : イタリアン…っていうか、小山さんが着るとなんだろう。ものすごい政治家感出てる。ちょっと悪いゴシップもありそうな。
 
小山 : ジャケットにタイしていると余計に醸し出しちゃいますね。
 
石崎 : 電車でまず出会わない。
 
小山 : この金額のコート着る人は電車乗らないですからね。僕は普通に乗っちゃいますけどね。
 
石崎 : そういうところがオタクなんでしょうね。社会的成功からの良い服、ではなくて、服から入って服で完結してしまってOKというマインドというか。
 
小山 : そうでしょうね。っていうか全然負ける気しないです。何に?って聞かれたら分からないけど、負ける気しないですね。
 
石崎 : 僕も勝ちたいです。さて、では最後の質問なんですけど、小山さんにとって服作りとはなんでしょう?
 
小山 : 人生そのものじゃないですか?下手したら恋人くらいの。
 
石崎 : 前言ってましたもんね。24時間縫っていたいって。
 
小山 : はい、常に縫っていたい。
 
石崎 : ずっと一緒ですもんね。服作る場所も寝る場所も。
 
小山 : はい、住み込みみたいなものなので。やっぱり恋人ですね。
 
石崎 : 10年先も20年先も。
 
小山 : これから一生、24時間ずっと一緒にいたい存在。
 
石崎 : 最高です。ありがとうございました。
 

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